EVANGELION : LAGOON

Welcome to H.S.D. RPG.
CAR-BATTLE in TOKYO-3, 2015.
by N.G.E. FanFiction Novels,
and RACING LAGOON.

Episode 4. Dilemma












 MAGIのガレージからZを出した僕は、その足で首都高へ上がった。

 湾岸上り。このまま市川ICまで行き、そこでUターンして戻ってくる。


 何も迷うことはなく……
 ただまっすぐ走り抜ける。

 最速の彼方を目指して……


 この湾岸を…………





 小雨が降り続いている。
 フロントウィンドウには、小さな水の粒がシャワーのように降り注いでいる。

 バックミラーに映る水しぶきの中……


 1つの光点が現れた。

「……ついてくる奴がいる」

 猛スピードで流れていく街灯りの中、その光だけが止まって見える。
 つまり、それは少なくとも僕と同じ速度で動いてるってこと。


 200km/hのクルージングに……
 それは追いついてくる……



 速度差にしておよそ30km/hといったところか。
 そのクルマは風のように僕をパスすると、僕の目の前にその姿を現した。

 僕を待っていたと……そう言ってるような気がした。


 羽田空港トンネルに入る。
 オレンジ色の光を浴び、そのクルマの姿がはっきりと見える。

「Z……!?」

 そうだ。Zだ。S30のZ。

 ミッドナイトブルーのボディ。
 ぎらぎらと鈍く光る大径メッキホイールから、いわゆるヴィンテージカーではないことが分かる。

 現役のマシンだ。



「……!」

 S30がぐっとリアを沈ませる。

 直後、風が鳴き、水が震えた。

 爆音を轟かせて加速するS30。
 僕は半ば反射的にそれを追う。

 Zが、ぎゅっと身体を強張らせる。

 路面にしがみつくように……



 S30のエンジンはL型……首都高を走ってるのなら、おそらくL28ベースのターボ仕様。
 Z32はVG型ツインターボ……中速トルクの強さはこっちが有利だ。


 下り坂を加速していくZとS30。

 ナトリウムランプの列が僕らを導く。
 それはさながら、地獄へと落ち込んでいく回廊か。












WANGAN


Azusa Shiina(Apostles) S30 FAIRLADY Z
vs.
Shinji Ikari(MNA) GCZ32 FAIRLADY Z



邂逅する伝説
首都高の青い悪魔













 時間が時間だけに、まだ一般車は多い。
 トラックやタクシー、あるいは商用のバンなどがちらほらと走っている。

 その間を、僕たちは200km/hオーバーでスラロームしながら走り抜けていく。

 まっすぐな道だからといって、ストレートオンリーではない。
 一瞬たりとも気を抜けない超高速コーナーが連続するコース……

 それが、湾岸というSTAGEだ。



「パワーも同じくらいあるのか……?」

 S30フェアレディZ。
 もう半世紀も前のクルマだ。

 それが、現代のZ32と互角の走りを見せる。
 腕の差ももちろんあるだろうが、それを差し引いてもあのS30の速さは驚異的だ。

 左リアに流されたマフラーから、張り裂けそうなエキゾーストノートを叫ぶ。

 それは、表しきれない思いをぶちまけているような、そんな感じだった。


「なんのために……走る…………」

 今さら、何を。


 さんざん、思い知らされたんじゃないのか。


 速さ、ってやつを。



 落ちついて考えてみてよ…………

 法定速度100km/hのこの道を、カルく2倍以上のスピードで走ってるんだよ?

 イカれてる、と思われたって仕方ない。



 身体を締めつける重力……
 心まできつく締めつける…………


 なんだ、これは…………?

 この胸の中のもやもや……



 これが感情?
 分からない……

 どんな感情?

 震える……



「…………っ!!」

 S30のブレーキランプが激しく点灯する。
 一瞬遅れて僕もブレーキを踏む。

 そのわずかな時間差で、僕とS30の差はいっきに縮まる。

 グリップ限界を超えてブレイク寸前のZのフロントタイヤが、ブルブルと小刻みに震える。
 タイヤが水をはじく、鈍い感触を右足に感じる。
 暴れ出しそうなステアリングを、僕は必死で抑え込む。


 ほんのわずかなきっかけだけで……
 いとも簡単に、回復不能の超高速スピンへと突入してしまう。

 それだけの速度域を走ってるんだ、僕たちは今。


 240km/hからのフルブレーキング。
 スピードメーターの数字が激しく瞬く。

 やがて、目の前に有明JCTの高架が見えてくる。
 道は緩やかなバンクがつき、右へとカーブしている。

「オービスか……分かってるって」


 再び全開加速。

 S30は激しくアフターファイヤーを吐き、狂おしいほどの加速を見せる。
 僕も負けずに、アクセルペダルを床まで踏みつける。

 シフトアップの瞬間、フロア下からボムッという音と衝撃がある。それと同時に、バックミラーにオレンジ色の光が映る。


 第1車線が空いてる。
 そのクリアなラインを見逃さず、僕たちはその力の限りをふりしぼって加速する。

 くだらない理屈も理論もいらない。
 何かに導かれるように走る。
 それがなんなのかは、まだ分からない。


 でも……
 それでも、走りに疑問を持つ理由にはならない。
 醒めてしまった人間には分からない……


 そうさ、僕たちは狂ってるんだ。
 スピードという麻薬に取り憑かれて……

 それがいいとか悪いとかじゃなく……

 ……そう、知りたいことがある…………
 心と体の奥底から沸き上がるこの衝動を……

 その由来を僕は……少なくとも僕は知りたい。



 この震えは僕のものだった。

 心の震えも、身体の震えも…………
 僕の中から生まれるもの。

 Zは、そして今目の前にいるS30は……それを、僕に教えてくれた。

 ……いや、Zはただ自分の思うままに走っているだけ。
 それに僕が気づいたってことなんだ。



 Z、僕は……そう……


 僕は、君だ。










 場面は変わってCOMFORT17。
 普段着に着替えた霧島は、180SXのキーを手に部屋を出た。

「待ってるだけじゃダメだよね……
こっちから行かなくちゃ……」

 180SXが発進する。
 霧島は迷うことなく、高速へ上がる道を選んだ。
 僕が連日首都高を走ってるってのは霧島も知ってるから……

 行けば、きっと出会える。そう思ったんだろう……










 湾岸千葉エリアまで走りきった僕たちは、市川PAに入った。
 僕はS30の向かいにZを停める。

 お互いにクルマから降りる。

 視線を交わす。
 それだけで既に、同じ領域の人間だと分かる。


 先に口を開いたのは向こうだった。

「ようやく会えた、ってところかな。噂は聞いてるぜ」

 S30のドライバーは、年齢的には20代前半くらいに見える。

 真ん中分けの垂らした前髪はやや青みがかっている。
 ラフなTシャツとGパン姿は、一見して普通の青年に見えるが……
 僕には感じられた。本物のオーラが漂っているのが……。

「Diablo-Zeta……首都高ランナーにとっては伝説だ」

「ディアブロ・ゼータ……?」

「…………そうか……知らないのか。
Diablo-Zetaってのは、10年前に横浜にいたZ32のことだ。そいつはとにかく速かった。他のどんなクルマよりもな……
いつしかぱったりと姿を見せなくなっていたんだが、それが今こうして俺たちの目の前に現れるとはな……」

「このクルマは……僕が世話になっているショップの先輩から譲り受けたものです。
それ以外のことは……僕にも分かりません」

「……ひとつだけ。Diablo-Zetaは、当時ショップとしてカンバンを出したばかりのNERVで作られたっていわれてる。Diablo系のパーツはわずかながらも市販されているが……見たとこ、そいつに使われているのは市販品とは別物のようだな」

「NERV……そうですね、このクルマにはNERVのエンブレムがついています……
それに、僕が世話になっているショップっていうのが……MAGI、なんです」

 「MAGI」……その名前を出したとき、S30のドライバーの表情が一瞬止まった。

「なるほどな……MAGIといえばNERVの指定ファクトリーだ。ありえない話じゃない……」

「……教えてくれますか?知っていることだけでいいです……
このクルマがいったい何者なのか……
それと、10年前の伝説っていうのも…………」

 風が吹き抜けた。
 一瞬にして空気が入れ替わる。

「……俺も大したことを知ってるわけじゃない。さっき言ったことは、ちょっと詳しいヤツなら誰でも知ってることだしな……。
ただ……よく噂されていたこととしては、そうだな……
そのクルマは、まるで意思を持っているかのように走る、ってことか…………」

「……意思を……?」

「ああ。ただ速いだけのクルマじゃない……
それを追うドライバーを惹きつけ、虜にする……魔性の魅力を持っていたんだ……」

 ごくり、と喉が鳴った。

「Diablo-Zetaを追って事故った走り屋は数知れない。
幾多の事故に遭いながらも、それでもそのたびに驚異的な復活を遂げてきたそうだ、Diablo-Zetaは……」

「…………」

「つい1か月前にも、そいつはクラッシュしてる。
ドライバーはそう、MNAの綾波レイだったか……
湾岸での最高速アタック中の事故だったそうだぜ」

「!な……綾波先輩が!?」

 僕は思わず叫んでいた。
 綾波先輩が……このZで事故った!?

「そうか……お前もMNAだったな。聞いてないのか?」

「いえ……何も…………」

 僕は動揺を隠せなかった。

 S30のドライバーはそれを察すると、すこし間をおいて言った。

「…………これぐらいだな……俺の知っていることは。
12使徒の中には、もっと詳しいヤツもいるだろうが……まあ、いずれそのうち会うことになるだろう……」

「そうですか……」

 沈黙が流れた。

「さて、そろそろ帰るとするか……俺は第3だけど……お前は?」

「あ……僕も第3新東京です。ベイラグーンの」

「そうか。なら帰り道は一緒だな。ま、俺は軽く流すから無理に飛ばさなくてもいい。
お前もそれに乗り始めてまだ日が浅いだろ?」

「ええ……まあ」

 僕たちはそれぞれのクルマに乗り込む。

「そうだ、自己紹介がまだだったな……
俺は椎名アズサ。そっちの名前は?」

「シンジ……碇シンジです」

「碇……?そうか、お前が碇さんの…………」

「?……どういうことです?」

 S30のドライバー……椎名さんはすこし迷ったような表情をすると、思い切ったように話しだした。

「またすこし長くなるけどな…………
10年前、そのZに乗っていた走り屋の名前が碇……そう、『碇ユイ』っていう女走り屋だったんだ」

「碇……ユイ?」

「碇さんは、俺たち首都高ランナーの間では伝説的な走り屋だった。
Diablo-Zetaに唯一認められたドライバーとしてな…………」

 碇ユイ。その名前に心当たりがないわけじゃない。予想はつく……
 だが、どうしても思い出せない……

 僕はその名前を知っているはず。

 だが、なんだ?
 この頭の中に引っかかったような靄…………

「彼女の持つ記録はいまだに破られていない。今でも、こう呼ばれてる……『10年前の最速の走り屋』ってな…………」

「10年前の……」

 そういえば、先の交流戦の時に、ギャラリーの1人がそんなことを言っていたような気がする。
 このことだったのか……10年前の、伝説のZ…………

「彼女には当時既に、一人息子がいたそうだけど……」

「……それが、僕?」

「だな。知らなかったか?母親がそんな有名な走り屋だってこと」

 僕は少しうつむき加減になった。
 母さんのこと……僕の家族のこと……なにひとつ、僕は覚えちゃいない…………

「僕には……小さい頃の記憶がないんです。何故かは分かりません……
………だから、母さんが走り屋だったってことも、ユイって名前だっていうことも………
今、初めて知りました」

 胸の中に沸き上がった思いを吐き捨てた。
 僕の告白に、椎名さんも驚いたようだ。

「……そうか……まあ、深くは詮索しないさ。お前にも事情ってもんがあるだろうし……」


 そこで話を切り上げ、僕たちは湾岸下りへ入った。

 さっきよりもいくぶん空いてきている。





 Zを従えて、S30が湾岸に降り立つ。
 古くささを感じさせないS30のその姿は、存在感を超えて優雅ですらある。


 2回ハザードを出して合図すると、僕は椎名さんのS30をパスした。
 椎名さんもハザードを返す。

 バックミラーにS30を見送ると、僕は正面を見据えて加速する。


 S30はずっと、Zを見送っていた。





 雨は止んだ。
 だが、路面はまだ濡れていてあちこちに水たまりがある。

 普通、こんなウェット路面ではFRはなかなか気難しさを見せるが……
 Zにとっては、これくらいはなんでもないようだ。


 ステアリングをしっかりと保ち、僕はじっと正面を見据える。

 僕は……戸惑ってる。

 あまりにも、一度にたくさんのことを知りすぎた。
 正直、混乱してる。



 Z……君はいったい、どんな時を生きてきたのか。

 それは君だけが知っている……
 僕たちは、ただ断片の情報をつなぎ合わせて、おそらく主観の混じった推測をしなければならない……


 誰にも本当のことは分からない。

 ましてや、それが10年も前のことなら。










 第3新東京市北部の埋立地の一角に、NERV本社ビルはある。
 差し渡し1kmにも及ぶ敷地には3つの大きな棟がある。

 ……三位一体……さしずめ、TRINITYといったところか……

 本社内の長いエスカレーター。
 綾波先輩と赤木博士、それにNERV総帥である六分儀ゲンドウが、なにやら話している。
 綾波先輩はTUNE SHOP「MAGI MELCHIOR」の社長であると同時に、NERVの幹部でもある。

「サードは例の一件以降、Zには乗っていません。また、自宅にも帰っていないとのことです」

「……この程度は予測の範囲内だ。対応は十分可能だ」

 ゲンドウはまったく気に留めた風でもなく応える。

「石川君の方はどうだね?」

「そのことですが、NightRACERS内部では彼を排除しようとする動きが見られます。現在のところは表立った行動はとれないでしょう」

「……やはり、Diabloを使われますか?」

 赤木博士が尋ねる。

「ああ、当初の予定通りで問題ない。そのように伝えておけ」

「「わかりました」」


 そこでやや間が空き、綾波先輩が思いだしたように口にする。


「NightRACERSといえば、リーダーの惣流が横浜GP出場の意向を示しています。彼女の出走に、計画上の問題はありませんね?」

「……惣流……キョウコ君の娘かね?」

「はい」

「そうか……彼女ももうそこまで成長したのか……」

「私もこの歳ですしね」

 綾波先輩が苦笑しつつ返す。
 ゲンドウは惣流のことを知っているのか……話の内容だと、彼女の母親とは面識があるらしい。 

 赤木博士はそんな2人の会話を、後ろからじっと見つめていた。










 水銀灯が反射し、きらめく湾岸の水面。


 辰巳JCTを通過したとき、合流車線から見覚えのあるクルマが現れた。

 茶色の180SX……ヴェイルサイドエアロ。
 間違いない……霧島だ。


 珍しいな、首都高に来るなんて……
 僕はその程度のことしか思わなかった。いや、思えなかった。



「……なんだ?」

 180SXはZの後ろにつけると、車体を半分だけずらして僕にヘッドライトの光を見せた。
 アオるつもりなのか?

 ……いや、一緒に走りたいって言ってるんだろうか。

「ついてこれるか……」

 僕は3速にシフトダウンすると、アクセル全開で加速した。
 リアタイヤがしっかりと路面をとらえ、Zははじかれたように加速する。

 4速にシフトアップ。さらに踏み続ける。

 220km/hほどに達したところで5速へ。

 バックミラーを見ると、180SXは100メートルくらい離れていた。
 さすがに無理だろ、この速度域じゃ……


 180SXはなおも加速してくる。

 と、水たまりにタイヤを取られたのか一瞬180SXの車体が揺らぐ。
 これだけのスピードだ……普通のクルマなら間違いなくハイドロプレーニング現象が起きる。

「これ以上引っ張るのはまずい……」

 僕は4速にシフトダウンするとアクセルを踏みきった。
 さすがに多少のホイールスピンはするものの、Zは車体の安定を欠くことなくまっすぐ加速していく。

 バックミラーに映る180SXの姿はみるみるうちに小さくなっていく。


 トンネルに飛びこめば、まばゆい光が視界をクリアにしてくれる。

「僕を追いかけたって……何も得られるものなんてないのに…………」



 つばさ橋が見えてきた。
 大黒PAにもクルマはほとんどいない。


 すべてが……重く淀んでいた。










 COMFORT17の地下駐車場。

 いつものスペースにZを停めると、僕はZのシートでしばらく微睡んだ。


 思うことはたくさんある…………

 このZにまつわる伝説……


 そして、伝説の走り屋といわれた碇ユイ……僕の母さん…………



 首都高の12使徒……


 ……綾波先輩でさえも御しきれなかった、Diablo-Zeta……このZ…………



 僕は…………このZを…………

 ……走らせる…………どこまでも……はるか、彼方まで…………





 15分くらいして、霧島の180SXが帰ってきた。

 いつもはZの隣に停めるのに、今日はすこし離れたところに停めた。

 霧島が降りてくるのを見て、僕もZから降りる。



「……………………」

 たがいに無言のまま、視線も合わせない。
 僕は一歩も動けなかった。


 霧島はゆっくりと僕に歩み寄ってくる。
 いや、ゆっくりに感じたのは僕が緊張していたから……

 僕は直立したまま、視線は霧島の胸元に。



「…………っ」

 胸に温かな、そしてやわらかな感触。

 僕は一瞬、自分がどうなったのか分からなかった。
 腕をだらしなく下げたまま……
 霧島にされるがまま、僕はZのボディに寄りかかった。

「……ぅ……っ、ん……」

 きつく締めつけられる。ちょっと苦しい。
 それだけ、たまってた思いが強かったってことか。

「ごめん……」

 口をついて出た。とにかく、そう言わずにはいられなかった。

「ごめん…………僕は……霧島の気持ちも知らずに……」

 霧島が僕から離れた。
 僕の顔を見上げる。その瞳はたぶん潤んでいる。

「……帰ってきたんだね、シンジ君……」

 微笑みかける。
 僕は……何を言えばいい?

 記憶のピースを必死でつなぎ合わせ……言葉を探す。

「…………ただいま」

 その言葉に、見た目に分かるくらいにはっきりと霧島の表情が晴れ上がった。

「おかえり、シンジ君……」

 そうだ……
 少なくとも今、僕は一人じゃない。
 待っている人がいる。


 霧島……
 落ちついて考えれば分かることだった。
 この街に来たばかりだって言ってた。
 知らない街で一人暮らし……それは僕だけじゃなかった。

 ともに過ごす仲間がいれば……それだけで、心は癒される。


 ……生活を共にするってこと……

 一緒に住むことが決まったときの、あのうれしさいっぱいな顔をしていた……
 僕が来るまではずっと一人だった……

 それに気づいてやれなかった、僕は……

 そうなんだね…………


「大丈夫……僕らは孤独じゃないさ……」

 それは同時に、僕自身に向けた言葉でもある。

 どこかで背伸びしてた。
 何もかも自分一人で抱え込んで……
 自分一人で解決しようとしてた。



 走りは孤独だ。

 でも、その走りを支えるのはたくさんの仲間だ。

 僕は不思議な気持ちになってる。
 1人から2人になるのが、こんなにも変わるものだなんて。



 僕は…………もしかしたら、この時初めて「人間らしさ」を知ったのかもしれない…………














予告


湾岸に伝わる、Diablo-Zetaの伝説。

その伝説に挑み、最後までZとともに走ると誓うシンジ。 

折しも、MNA対NAの交流戦が再び行われることになった。

そこでNR鈴原は、自分の対戦相手にシンジを指名する。



第5話 シンジ、心の向こうに


Let's Get Check It Out!!!






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