『お父様と私』

【そのにじゅうに】 作・何処


コンフォート17の一室、脱ぎ散らかした服と書類の間、ノートパソコンにひたすら先日の演習の報告書を打ち込むFカップ…もとい二佐。目覚ましの電子音に充血した目を向ける。

「…ふわあぁぁ〜っっっ!ん〜も〜朝ぁ〜?むわぃったな〜…仕方無い、今朝はトーストと珈琲で…あ、アスカはレイと春日さん所お泊まりかぁ…と、取り敢えず午後出だから少し仮眠…いかんいかん!シンちゃんとペンペンにご飯あげなきゃ!仮眠はその後!」

「えーっと…あれ?書き置き?『アスカの鞄渡しに行ってきます、お味噌汁とご飯は作っておきました。徹夜は控えて下さい』…く〜っっっ!!!シンちゃんあんた絶対性別違うっっっ!!!あたしの嫁に欲しいわっっっ!!!てゆうかむしろ嫁に来いっ!!!乞うから来い嫁に!!!」

「葛城…何朝から口走ってるんだ?」

「…え?…あ・あ・あ・ああ・あああああああ、あ、あんた何勝手に不意に急にいきなり突然なんでこけここ此処に何故いるのかなあ?」
「あ、南米の仕事一息付いたんでな、葛城の顔見に来た。」
「ななななな!?!」
「おい、どうした?ん?これはシンジ君の字だな…ああ、成る程、確かに下手な女より気が廻るな彼は。」
「でしょでしょでしょ〜!?なんでシンちゃんたら男の子なのよ〜っっっ!…ておい。」

「?何だ葛城?何故襟首掴む?」

「なんでぢゃないわよ…あ、あんたねぇ…あ、あたしが、あたしが、あたしが、あたしがど、どんだけ、どんだけ、どんだけぇ…エッ、えぐっ、ひっく、馬鹿、馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿加持い〜っっっ!」
「葛城…」
「えぐっ、んっ…むっ…バカァ…」

「「「グ〜〜〜ッ」」」

「…」
「そういや昨夜から飯食ってないや…ハハッ」
「…クワ〜…」
「…ぷっ、くふふっ…」 「…くっ、くくくくくっ!」
「?クワ?」
「あっはっはっはっはっ!あっはははははっ!ぶわ〜っかみたい!」
「わはははははははっっ!ちっっ違いないっ!」
「…クワ〜…」

「加持〜、目玉焼きでいーねー?」
「おう…ペンペンいい食べっぷりだなー、五匹目だぞ?」
「クェッ!クワワッ!」
「…なあ、葛城…」
「…何よ…って加持加持大変!?ちょちょちょっと直ぐ来て急いで来て慌てて来てぇ!?!!」
「!どうした葛城っ!?こ、こりゃ珍しい…」
「は、初めて見た…黄身二つ入ってる卵…てヤバい焦げちゃう潰れちゃう〜!?」
「お、落ち着け葛城、先ずは火力を弱火に…そうだ、白身が固まるまで…いいか葛城、いざとなったらターンオーバー…ひっくり返せば済む」
「わ、分かったわ!」
「よおし…落ち着け、さっと塩を…で、胡椒…、」
「も、もういい?」
「未だ…葛城水はスプーン一杯で十分だ!」
「え?あ、あああっゴックン!」

「危なかったな…いいかな、よし、水!次蓋を!」 「はいっ!」
「よーしこれで火を止めて…」
「…」
「…」
「…初めての共同作業は目玉焼きか…」
「…しかも双子の卵だぜ…」
「…」
「…」
「…私ね…」
「ん?」
「…目玉焼き失敗しないようになってからあの指輪受け取ろうと思ってたんだけど…」
「…ああ、成る程。それでか…」

「…今、貰っていい?」 「…喜んで。」
「…」
「…記念に撮影しとくか…」
「お皿移す前にしよ…潰しちゃいそう…」

「…そう言えば葛城、未だ目玉焼きにケチャップとマヨネーズか?」
「…シンちゃんとマヤちゃんはお醤油、アスカとレイはソース、リツコとあんたは塩…もう何でもいいわ…本当…」


「お早うございます!あれ?あ、あなたは護衛の…」「やあ、お早う、実は俺もここの住民だ。ほら、彼女達がお待ちかねだぞ。」
「あ、え、その…は、はいっ!」

「若いっていいねえ…」

「お早うございま…と、父さん…お、お早う…」
「…シンジか…お早う。多分この時間なら二人は食堂だ。迎えに来たのか?行くなら急げ。」
「…う、うん!」

「あ、春日さんお早うございます。アスカ、綾波、お早う。はいアスカの鞄。綾波の鞄も持って来たよ。」
「あらあら仲が良いわね、そうそうシンジ君も朝御飯食べていきなさいな?もう用意してありますから…あら?誰かしら?」
「え!?!」「嘘!?!」「…」

「おっ…おはっ、おはやうござっ、ございますっ!きっ…霧島マナッ、たっ、只今南米よりじゅっ、15時間かっ、懸けていっ、碇シンジさんにーゼハー、さっ、再会っ、すうるためっ、ゼハー、さっ、参上いたしましゲホゴホゲホッ!?」
「ちょ、ちょっとマナ大丈夫!?」
「みっ…水…」

「あらあら…レイちゃん、アスカちゃん、シンジ君、お知り合い?」
「え、…ええ、アスカのライバル…恋仇です。」
「あらまあ」
「…碇君を巡るアスカとの対立は伝説…」
「ほら水よ!しっかりしなさい!あんた戦自で鍛え上げてたんでしょ!シャキッとしなさいシャキッとぉ!」
「…アスカ、やっぱりミサトさんそっくり…?碇君?」
「…気を失ってるみたいね…」

「ま、マナは死んでもラッパを話しぃ〜死んでも死にましぇーん…」
「しっかり、気をしっかり持ってマナッ!!シンジはソコよっ!」
「あーお花畑…川が綺麗…母さん僕はもう疲れたよ…」
「き、キャーッ!?!!マ、マナッ行っちゃ駄目そっち往っちゃダメ逝っちゃだめ〜っっっ!!!」
「あらあらあら…あら?又お客様?」

「…ま、まなぁ、はっ、走るな…」
「…は…腹へった…」

【にじゅうさんへいくぜっ!】


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