『お父様と私』

【そのじゅういち】 作・何処


「いっただっきま〜っす!きょうのおっべんとはっんばっあぐ〜♪」
「…あ、アスカさん、その…は、話があるんだ!」
「何?前に言ったけど彼氏なら居るからお付き合いは駄目よ。あっ、たこさんウインナー!」
「くっ…こ、今度のクリスマスだけど、じ、時間開けてくれないか…な…」
「あ〜無理無理。ごめんなさい。さあって食べよ食べよっ!」
「お、俺今度引っ越すんだ。親父の転勤で海外に。だから…」
「あらいいじゃない、新しい環境で自分の知らない世界を体感する、経験者の意見とすればとても貴重で大切な知識と経験になるわ。寧ろ思い出を作るいい機会、別に二度と帰れない訳じゃないでしょ?ならそんな暗い顔しないで喜びなさい。じゃ向こう行っても頑張ってね、アフリカだろーがアメリカだろーが要は言葉と常識が少し違うだけだし、同じ愚かで哀れな素晴らしい人間だもの、警戒と尊敬を忘れなきゃどこでも大丈夫!じゃクリスマスは他の人と過ごす様に頑張ってね、はい、話終わり。」
「そ…そう…じゃ仕方ないね…が、頑張ってみる…よ…」

「お見事。相変わらず手慣れた物ね。」
「あ〜あ、いい加減無駄だって判らないのかしらね…ご苦労様アスカ…皆のクリスマスパーティーを断って彼氏と過ごす宣言しても未だ来るのね〜、今日三人目?勇者ってよりドンキホーテね。」
「てゆうかね、モグモグ…ゴックン。見た目で判断されるのは諦めるにしても人間性や知性を正当に評価出来ない人はお断りよ。おっ、茹で卵!」
「「ほうほう、で?」」
「あんた達なら良く分かるでしょ、あたし頭脳はともかく性格はかなりきっついじゃない?幻想押し付けられてもね。パクッ!」
「アスカ、自分で言うそれ?あ、リンゴ頂戴。」
「肉団子と交換よ…納得するけど、それ不安じゃない?彼に嫌われたらどうしようとか見た目だけ評価されてないかとか怖くならない?」
「ををっ!鋭いっ!も、入院してた時は最悪だったわ。もう自己嫌悪と不安の塊で彼が来れば追い返して、その癖彼がいないと泣くわ喚くわ暴れるわ、あたしも周りも大変だったわ。」
「「おおおおっ!」」
「でもね…やっぱり来てくれるのよ彼…お見舞いに…怪我しても…」
「「おおおおおっ!」」
「流石熱愛は違いますね、どう思います?」
「激熱ね激アツ。」
「そりゃ誰も敵わないわね。炎の女アスカが恋におちる訳よそりゃ。」
「でも出会いは最悪だったわ〜、最初から自意識過剰だったあたしと正反対な性格なんだもん!おまけにタイミング悪く風でスカートが捲れて思わずビンタ一閃!」
「ぶっ!」
「凄い…良く付き合えたわね…。」
「そっ、想像付くだけに凄い。」
「処で皆、未だ食べ終わらない?時間大丈夫?。」
「あっ、急がなきゃ昼休み終わっちゃう!」
「こら肉団子寄越せー!」


「はい碇君、お弁当」
「ああ、ありがとう綾波。洞木さん、トウジ、ケンスケ、一緒に食べよう。」
「おっ、先生、今日は綾波当番かい、相変わらずモテる男は違うのー、な、ヒカリ」
「あ…あのさ…な…なんか未だ…は、恥ずかしい…」「慣れや慣れ。わしはもう開き直った。」
「はいご馳走様。やれやれ独り身にゃあ世間の風は冷たいねぇ〜」
「…?相田君、クリスマスはデートじゃ…」
「ああ、なんと半世紀を過ぎて再び建造された戦艦が来るんだ!船名は判明してなけど『MAX』って開発名らしかったから、多分そう呼ばれるだろうな。凄いぜ、公表スペックはポジトロンキャノンにプラズマ障壁発生機、レーザーファランクスに60口径四百ミリ三連装キャノン二基!くーっ痺れる〜!」
「?」
「…綾波、気にするな。何時ものボケや。センセ、ヒカリ、ほないこか。」

「ケンスケ、その弁当…」
「ああ、男の手料理って奴さ!シンジ程じゃないが、なんとか食える味だ。」
「…さては小遣い使いきったか…」
「たはは、ま、なんとかなるさ。それに明日のバイト代までの辛抱だ!」
「どう?アルバイトは大変?コミュニティ誌の記者なんでしょ?」
「記者兼カメラマン兼編集兼営業さ。最も週末だけの雑用係だから、贅沢は言えないし、それにやっぱり面白いよ。」
「…ケンスケ、君はやっぱり凄いよ。」
「…鈴原君、これ。義足のフィードバック検知装置の端末。アジャスターは未だ大丈夫?」
「おお済まんの綾波、やっぱり3日に一回は自分で調整せんと駄目やな。自動アジャスターは楽やが感覚がズレおる。調整の残りは15,8ミリや、未だイケるやろ。」
「来年には新しい義足が出来るって。鈴原君のお陰で成長型義足の開発は順調よ、使い心地はどう?」
「いや、風呂に自分で入れるのが最高や!よくぞ開発して下さったって事や!センセ、妹も世話になって色々ありがとな!」
「…成長が止まったら、再生肢生成と接合手術が出来そうだって。もう暫く待ってくれって話だよ。」
「しっかし科学っちゅうのは凄いのー、無くした足が帰るなんぞ想像つかんかったわ。」
「鈴原…」
「おっといかん、もうこんな時間や!はよ喰わんと。ヒカリ、今日は何や?」
「コロッケとササミフライよ、ご飯は菜飯にしたの、どう?」
「最高や!」
「碇君、今朝時間無くてサンドイッチなんだけど、どうかしら?」
「いや、あんな忙しい事有れば仕方ないよ、ありがとう。僕も今朝は手抜きでさ、アスカのお弁当のおかずは昨日の夕御飯に用意してたハンバーグなんだ。だから直ぐ出来た割に文句は出ないと思うよ。」
「「碇君…」」「碇…」「センセ…」
「ん…何か?」
「((お))嫁さん(はん)の((お))世話、大変ね(だな)(やな)…」
「ええええええええええっっっっっ!?!##」

…自覚無しか…

【じゅうに〜♪に続く】


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