『お父様と私』

【そのに】 作・何処


…事の発端はやはりアスカだった。
コンフォート17の一室、アスカの十六回目の誕生日、子供達を送ったオペレーター達が宴席へと帰還し、いよいよ大人達の宴闌なその時、キッチンから響いたアスカの声が一同の動きを止めた。
『あ、あんた未だ司令と話して無いの!ヴァッッカぢゃない!!』
『だって仕方無いじゃないか、会ってくれないんだし…』
『あんたはそれだから駄目なのよ、無駄に背ばっかり伸びて頭ん中ちっとも成長してないんだから!』
『あ、酷っ、アスカだってどうなのさ!『最近ブラきっついのよねー』とか何で僕もいる前で話すんだよ!羞恥心てゆうか羞じらい忘れたら駄目だよ』
『ハン!『おっきくなったのは背だけかな〜』なんて言われて『靴のサイズも大きくなりました』なんて惚けた事抜かしたのはどこのどなた様でしたからおっほっほ』
『…だからその手の引っ掛けにそろそろ慣れたからだよ。“朱に交われば”ってアスカ、スタイルまで段々誰かに似て…あぁっ止めてよ痛い痛い本気で痛いギブギフ゛!』
『あ…あんたねえ…言っていい事と悪い事があるのよ!量産型エヴァ並みに禁句よ!』
『…この間学祭にミサトさんとアスカが乗り込んだ時から姉妹説が流れてるんだよ…』
『嘘っ!い…嫌…ミサトは嫌ミサトは嫌ミサト似は嫌ミサト似なんて嫌三十路は嫌ビール魔は嫌ゴミ女は嫌嫁き遅れは嫌マッドは嫌あの二人似は嫌っ嫌っ嫌っ嫌っ嫌っイヤ〜ッ…って痛い痛い痛い二人で攻撃は反則痛い痛いっ!ちょ、一寸待ってヤメて止めてよあ〜んシンジ助けて〜』
『あ、アスカ…さようなら…』『さよなら…』
『なあ、シゲル』『なあ、マコト』『『勇者に敬礼…』』
『ドナドナが何故聴こえるのかしら…アスカちゃん、ご免なさい。私には見送る事しか出来ない…加持さん、早く南米から帰って来て…誰もあの三人を止められそうにないんだからせめて1人でも片付けて…』
『何気に伊吹さん酷いわ…碇君、アスカを助けたい?』
『え?う、うん一応は…』『『一応か!』』
『そう…伊吹さん、耳を…』『…ああ成る程、それじゃあ…』
『『!!シンジ君不潔よ〜っ!!』』
『このエロシンジっ!あたしの見てない所で何をしてるっ!って…おや?』
『アスカっ、グーは駄目よグーはっ!て…えっ?』
『レイっマヤっ無事なのっ!?…って…』
『ミッションコンプリート…』
『落ち着いてる場合!?シンジ君っ大丈夫!?』
『母さん…そこにいたんだ…すぐそこに逝くよ…』
『き、キャーッ!シンジシンジシンジっっっ!逝っちゃ駄目そっち逝っちゃ駄目逝っちゃ駄目ぇ〜!』
『マヤ、記録は』『バッチリです!』『画像も携帯でバッチリよ〜ん!』『良かったわね碇君…』『あ〜んシンジ逝っちゃ駄目〜!』
『『女って怖い…』』

数分後…
『だからこいつが未だ司令と親子の和解に至って無いのが原因なのよ!』
『い、いや和解はしてるさ。只話し辛いってだけで…』
『あんたね、ネルフから進学には親の承諾が必要だからってあたしはドイツに連絡されたのよ!こっちでの責任者は司令なんだから司令に許可して貰えば問題無いのに!』
『あら?保護者はミサトじゃ…』
『ミサトは一応保護者だけど責務者は既婚者か親権者じゃ無いと駄目らしいわ、全く融通効かないんだから…』
『あら、それなら司令に保護者をお願いしたら?将来の“お父様”なんだから』『『なっ、なんでそうなる(のよ!)んだよ!』』
『よぉ〜っし、お姉さん達にむわっかせなっすわぁ〜い!ふっふっ、燃えるわぁ!』
『『ふ、不安だ…』』

そして今、シンジ達は独身寮食堂にてゲンドウと対面中…
【そのさんに続く。】


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