魔女アスカの戦い






一見平屋に見える、レンガ色の屋根の家はこんもりとしたさんざしの茂みと、少し背の高い野バラ茂みを垣根
代わりに囲まれていた。長年雨風にさらされて来たにしては傷みのない壁が内部を守っているのが見て取れた。
庭にはありとあらゆる植物が植えこまれ、ハーブやイチゴやブルーベリー木イチゴまでが顔をのぞかせていた。
しかし見る人が見れば毒性の高い植物や効能の高い薬草もあることに気付いただろう。只者の住居ではない。
モルボルとサボテンダーをポイントにし、かわいい門扉と窓枠とバルコニーの柱だけが純白に塗られ、滴る緑の
中に入り口を示していた。その窓枠の一つが開く。男の子は外を見て気付いた。

「父さん、誰か来たよ。女の子だ。」

ある日、このシンジ達の家へふらりと一人の魔法使いの女の子がやってきた。

現当主ゲンドウを訪ねてやって来たのだが、まったく相手にしてもらえなかった。名高い魔法師の推薦状は
この子のことを激賞していたのだが、シンジの父にとってはまったく意味をなさないものであったらしい。
最後はシンジの世話係と言うことで落ち着いたのだった。年頃のシンジにとっても迷惑極まりない話だった。

その女の子アスカは、わたしは最強の魔法師だと自分で常々言って回っている。
ここにやってきたのは当主のパートナーとなって共に闘うこと。一体どこに戦いなんかがあるって言うんだよ。
しかし弟子でも手下としても徒弟としても認めてやらないゲンドウ。あげく年端もいかない息子のお守係りだ。
と言っても少なくとも少女よりもシンジのほうが2−3歳は年上らしい。

同時にシンジもアスカも昔のご先祖が残した呪いに縛られていたと言うことになる。
現当主が受け入れないとか、いないというならば、アスカは次善の策としてシンジに仕えねばならない。
文字通り嫌なら帰れということだ。

そんな関係で2人は一緒に暮らすことになったのだった。(こんな略し方で読者に理解してもらえるのだろうか。)
とまぁ詳しいことはまた機会があれば述べるとして、2人一緒に暮らすようになって日々の暮らしは変わった。
掃除や洗濯家事についてはアスカはシンジの父ゲンドウと同じかそれ以上にしやしなかった。
できないというほうが正しかったのらも知れない。だって屋根に登って茂りすぎたジャスミンをむしるのは好きで、
そのまま昼寝をしてた。箒に乗って高い木の枝を下ろすのも喜々としてやった。つまりお転婆仕事は好きなのだ。
好きなことしかしない点はゲンドウと同じ。だが変な化け物とか訳のわからない生き物と遭遇することが多くなったのだ。

髭面の怪しい親父ゲンドウはアスカが現れた後、あとは任せたというようにふっつり家に寄り付かなくなった。
最初は時折帰って来たが、何回か顔を出したあとうまくやっているようだな、とシンジに粒金の袋を渡すと消えた。
金の袋はシンジにしか開けられず、刃物も通さず、どこから供給されるのか使い果たして無くなることもなかった。
金が湧きだすわけではない。盗まれた時はおそらく無効になってしまう魔法なのだろう。
それきりもう2年にもなる。 もしかしたら母の亡きあとシンジの面倒をみるという為だけに我慢してたのかもしれない。

「もしそうだとしたら、魔法使いとしてはずいぶん優しいことね。魔法師失格よ。」

「なんでさ。あんな顔してたけど悪い人じゃなかったんだぜ。」

「あんたね、魔法使いは血も涙もない悪い人じゃなきゃできないのよ。」

「いつの時代の偏見だよ。キミもそうだっての?」

「あ、あたしは正義の魔法使い…」言っててあまりの矛盾に口をつぐむところがかわいい。

そんな親父でもシンジは心配し、とうとうアスカを連れて旅に出ることにした。

「しょうがないわね、あんたが決めなさい。一応主筋なんだからあんたが。なーんももらってないのになあ。」

等価交換の原則なんて無視もいいとこだ。
それに心当りもない旅で人を見つけるなんてことはまず無理な話だった。下手をすれば野垂れ死にだ。アスカごめん。

それでも前向きに考えてみた。この時代知識を身につけるには旅に出て上位者に教えを請うしかないのだ。
ああ、そうか。父さんはアスカが来た途端に教えてる暇がないと思って断ったんだ。自分の修行に行きたかったんだ。

アスカはそこそこ立派な魔法使いだと思ったからこそ僕のお守を託して家を出てったんだ。なるほどやっとわかった。
それは剣や大工や石工や魔法や絵や医学の修業でも同じことだった。父さんに習っただけではだめなんだ。
一定の腕になれば師から紹介状をもらい、より高いレベルの師匠に紹介してもらう。厳しく必死で学ばなければダメなんだ。
旅の道づれとなった同じくらいの経験を積んだ知り合いとも互いに競い合い時には友情を感じる相手と巡り合ったりもする。

シンジの道づれであるアスカは決して優しい師匠ではない。教えてくれる義理もない。第一父が魔法を教えるという対価を払って
いないのだから、明日いなくなっても文句は言えない。
それなのに付いて来てくれる、魔法も少しづつ教えてくれてるのは優しい心があるからに違いない。しかし。

「ほんとにバカよねー。シンジにくっついていなきゃ私どうやって食ってけばいいってのよ。ああ、いいパトロンいないかな。」

現実は常に厳しいよな。
だが、魔法ともなればその旅の間、敷地に結界が張られている我が家より遥かに多くの怪異とも出会い、戦わなければならない。

最初に戦ったのは旅人を頭から丸呑みにする緑色の蛙だった。舌を巻きつけ一気に飲み込まれる場面はとてつもなくえぐい。
ほんの10分もすると、衣服や剣とドロドロに溶けて肉や内臓がしゃぶり取られた人のカスが吐き出されてくる。数人の衛視が
駆けつけてくると素早く跳ねて逃げて行ってしまう。二人はこいつを剣でシンジが切り結ぶ間に、アスカがお酢を投げつけて
一気にやっつけた。酢で皮膚呼吸ができなくなってもだえるところで首を刎ねたのだった。

次は名高いトカゲの王マスタートンベリ。数十匹の軍団を率いて近くの村から家畜や美しい娘を奪う古典的なやな野郎だ。
清楚に着飾らせたアスカと立派な士官服を着込んだシンジが目につく道を歩きまわるとその夜のうちに宿屋の窓を蹴破って
現れやがった。どす黒い魔道衣と鈍く光るほうちょうがシンジを一気に襲った。魔法剣の呪文を唱え復活した剣の精が
炎となって荒れ狂い、敵を切り伏せ焼き尽くしていく。アスカが宙から取り出した紅色の槍を縦横に振るいあっという間に
敵は全滅。だが油断した隙にアスカを攫われてしまう。ま、予定の内だけど。次の日の朝マスタートンベリの本拠である古城は
黒煙を上げ、トカゲ王は干物となって城壁に張り付いていた。攫われていた者たちは豚も牛も娘らも無事帰って来た。

その次は巨大な砂漠の王、砂ミミズの大軍を怒涛のごとき水を導いて一気に全滅させた。その砂漠には巨大な湖が残り、
周囲は素晴らしい緑の地と化した。はねのけられた土砂が山を作り、川が流れ森ができ雨が降るようになった。

又その次は隣国の領主にとりついたネズミの魔物をせん滅し大戦を食いとめた。王国に付き物の可愛いお姫さまとシンジの恋。
もちろんアスカの手によってその恋は木端微塵に砕かれてしまったのだが。

こうして次々と問題を解決しS&A勇者チーム(SAT)は「さっと解決ぅ〜♪ズバッと倒す〜♪勇者屋さんだよS/A/T !」と
かってなCMソングまで大ヒットするようになったのだった。

しかしここまではあくまで運が良かっただけ、と言うか運が悪く回ることだって世の中にはいくらでもあるのだった。

シンジの魔法剣とアスカの魔法でカタが付く物はよかったが、必ずしもそれで済むものばかりではない。間の悪いこともある。
ある町で戦った、牛のような頭の吸血鬼を相手にした時などは、シンジは片腕をもがれ首を食いちぎられ危うく命を落とす所だった。

あんたを助けるのはいいんだけど…とアスカは口ごもって、いつもその先をはぐらかしていた。
何か理由があるのか、シンジは問い詰めずに自分の半端な魔法と、先祖から伝わった魔法剣だけで戦い続けてきた。

だが、その牛男と戦って、自分もアスカも重傷を負ったときはもう2人で死ぬしかないと覚悟を決めた。
アスカも牛男に激しい炎で重傷を負わせはしたが、敵はすぐに復活するだろう。細胞の再生スピードが段違いだ。
彼女自身も背中を切り裂かれたうえ腹を角で刺されて死にかけていた。

「シンジ。ちょっと痛いと思うんだけど。」

「なんだよ。もう死ぬ間際だっていうのに、またなんかおねだりかい。」

「うん…そうなんだけどね。ちょうど魔力が低レベルのとこ襲われちゃって。ごめんね。」

「この状態でなにしろっていうの。」

「あたしをさ、抱いて。」

「抱くって、抱きしめあって死ぬのもロマンチックだよなあ。アスカって結構美人だよなって前から思ってたんだ。」

「馬、馬鹿。そ、そうじゃない・・・うれしいけど。」

アスカが2言3言呟くと彼女が身に付けていた服は霧のように吹き消え、そのまま少女はシンジの上に覆いかぶさった。
牛に食いちぎられた左の首筋から鎖骨にかけて、固まりかけた血塊が硬めの煮凝りのようになんとか留まっている。

「今のあたしじゃ、ここまでしか回復させてあげられないのよ。時間もない。」

そして、シンジの服も消えた。まさに生まれたままの姿になって2人は抱き合った。
無くなった右腕は、すぐそこに剣を握ったまま転がっている。体は出血のせいで冷え切っている。 こんな色っぽい状況なのに。

「頑張って、抱いて欲しいのよ、つ、つまりあんたの精液を。」

「抱くって、そ、そういうことっ。」

身動き一つ取れないと思ってた体が起き上ってた。まだまだ少しは動くらしい。男の土根性かっ!

「あ、あたしだって処女をあんたにやるなんて、やなんだからね、で、でも生きるため仕方ないからするんだから。」

アスカは真っ赤になってシンジの目を見据えた。

「え。処、初めてなのっ!

「あたし14であんたんちに来たのよ!初めてに決まってんじゃん。せ、責任とってよねっ!」


2つ下だったのか。てことは今は芳紀17歳?
激痛をこらえて抱こうとシンジは頑張ったが、痛みと貧血で肝心なところが元気にならない。
なんといっても二人とも初めてなのだ。

「な、何とかするから、頑張ってよ。このままじゃ2人とも死んじゃうのよ。」

アスカはシンジを仰向けに横たえ色々な技巧を(どんなことを?)施し、シンジが少し元気になったところでもう一度跨った。
恥ずかしさに真っ赤になりつつ、貧血をこらえて時々後ろに倒れそうになる。危なく手を引くと豊かな腰と胸を揺らめかせて戻る。
顎をのけぞらせ髪が波打つ。股間をこすりつけるようにシンジの中心に刺激を与えようと声をこらえて顔をしかめて頑張っている。
それでもなかなかいつもの朝のようにシンジのは雄々しくは立ち上がらない。せっかくアスカがこんなに、と思って目を開けると!
白い太ももが開いて自分の物の上に。熱い粘液粘膜とか話で聞いただけの信じられないほどの刺激。これこそが魔法だと思った。
音をたてたかと思うほどの勢いでシンジの股間のアルテマウェポンが跳ね上がった。長さ直径とも2倍では効かなかったろう
鞭で叩かれたようにそこが触れあったと思ったとたん、全身が火に包まれ熱く燃え上がった。
森の奥で炎が爆ぜ、天に届くような火が吹き上げた。その爆炎の中二人は固く抱きしめあい一つのものとなった。

「あっ、シンジの馬鹿っ!い、痛い。痛いじゃないのよッ!」

「ど、どうしようもないだろっ。ごっ、ごめんよっ!」

そう叫んだとたんにすっかりアスカの中をシンジが深く貫き通した。

「あっ!」

「アスカァッ。」

その中で(色々やり取りがあって)シンジはアスカの腰を強く引きよせ、迸った蛋白なホワイトウィンドをアスカは下腹一杯に吸い上げた。
二人の体から光の奔流が激しく光って吹き出し、牛男も雑魚妖怪もすべて粉微塵にそのひかりの中へ吹きとんだ。

シンジが気がつくと、2人は折り重なって倒れていた。
転がっていた腕もくっついていたし、食いちぎられた首筋も綺麗に戻っていた。
アスカの背も腹の傷もこけていた頬もつやつやになっていた。
かたずをのんで戦いを見守っていた町の人たちが駆け寄ってきて、牛男を倒した英雄を抱き起こしてくれた。
なぜか顔を血まみれにした人が多かった気がしたが風呂に入れられ宴会が催され、結婚披露宴へと繋がっていくのであった。

「あっ、あたしがいつこの馬鹿シンジと結婚するなんて言ったってのよ〜っ!」

「だってお前さん処女だったんだろ。最初に捧げた男と一緒になるってのがなんてっても女の幸せってもんよ。」

「そんだそんだ、結婚立会人なら町中におるでな、問題ない。」

「男のほう!それでええだなっ。」

「はふぃ。よろふぃくおねがふぃしますうう〜。」

「こらあっ!しっかりしてよシンジっ!」

そのあとはお決まりのコースだった。
真っ赤に染まった顔を上げられないままのアスカと笑いがへらへらと止まらないままのシンジ。

「ひっ、人前であんなこと曝してっ。シンジッ責任とりなさいよッ。」

責任とって結婚したんじゃないのか、アスカよ。

「やろうって言いだしたのはアスカだろ。僕は激痛をこらえてキミの指示に従っただけで。」

「が、ご、ぐ、ギリギリ〜〜〜。」

歯噛みしてもすべてが手遅れなんである。既成事実があって町中の人がそれを見守っていたんだから。

「だから〜いつでも責任とるよ。」か、顔がゆるみきって戻らない。「もうとった。」

いつまでもいてくれと市長から立派な家まで貰っては逃げるわけにもいかないアスカだった。




だからその日からは戦った時はアスカをかかえて帰ってひたすら抱き、股間のハイポーションを注ぐ様になった。
魔法はひどく精を消費するものらしい。

「なんかネクロフィリア(死体愛好症)みたいで嫌だなあ。あ、大分身体が暖かくなってきたぞ。」

温まるとフェニックスの尾が輝き始め、アスカは潤ってくる。冷たかった身体が火照り、戻ってきた吐息が熱くなってくる。

「あっ、」

ピクリ、とアスカが反応した。こうなればシンジは俄然やる気になるのだ。 アスカが正気づくころにはすっかり
身体のほうは高まりきって準備万端で逆らいようもないのだった。

「あ、あんあんあん。ああ〜っ。いっちゃう、いくうっ!」

汗がほとばしり、いやがうえにも頑張っているとアスカ復活。最初のころより大分反応も良くなった。
腿が自分の腰を絞めつけ、首に巻きついた腕にきつく引き寄せられ、耳元で苦情を言われる。

 「あ、あんたまたあたしのこと勝手に抱いてぇっ!」

 「しょうがないだろ、しないと死んじゃうンだよ、アスカは。」

「そ、それはそうだけどっ」

「キミの事、死なしたくないんだ。」

「そ、そうなんだけど〜っ。あああっ。卑怯者っ。」

どうしても納得いかないのだった。いやなに恥ずかしいだけだったのだが通りでしなくなっただけまだ増しか。
しかし戦いと言えば森の奥でも谷間の底でもギャラリーが付いて回れば同じことじゃないのっ!
家の中で出来るときはまだいいほうだと言えよう。

「精気切れ程度だったら、2−3日寝てれば直るんだからぁ…」

頬を染めて呟くが、それを強く主張しようとは思っていないようだった。
そして、すっかり今日もアスカは戦いに敗れ去ってしまった。魔法力は十分満たされたが誇りは傷ついたまま。

「さぁ、元気になったら今日もハンバーグ焼いてやるからな。ケーキも付けるよ。」

「やったぁっ!」

飛び上がった拍子に、かぶっていた蒲団がつるりと落ちて、白い身体が丸出しになった。
誇りなんかどうでもいいやっ、とつい思ってしまう少女であった。

シンジの目に獣のような光がキラリン!快楽と食欲を抑えてしまえば百戦すとも危うからずである。
おまけにアスカはシンジの腕枕で寝るのが大の好物なのだから…

しかしゲンドウ探索の旅はどうなったんだよ。
魔法や剣の修業は?人は安住と平和と安寧にかくもすぐ堕落するのか。

「余計なお世話よッ!」

さて、これからどんな冒険が二人に降りかかってくるのか。 マテ次号。




コメント:続きませんw 続くわけないでしょ(^^;



Komedokoro - 13 - Mar - 2009

編注:この作品はフィクションであり以下略


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