とんでもない誕生日


 

こめどころ




 

 「おたんじょうびおめでとう!」

 

ぱん!ぱん!ぱぱぱん!

 

クラッカーが鳴り響き、紙ふぶきと、細い紙リボンが飛び交う。EVAキャラだけでなく、

多くのアスカファンがどやどやと押しかけ、第一中学体育館はいっぱいである。

ドイツ国歌を吹奏楽部が奏でる。TV放映の中継車が校庭に並んでいる。

 

「みんな、ありがとう。ありがとう。」

 

赤いミニドレスを着たアスカがマイクの前で、大きく手を振り、ぺこっと頭を下げて挨拶する。

 

「いやー、お世辞じゃのうて惣流は別嬪さんやのー。」

「うん(カシャ)、確かに(カシャ)、めったにいないくらい(カシャ)、美人だよなあ。」

「それだけじゃないわよ。アスカはね、頭もいいし、勇敢だし、スポーツも万能だし、

それに意外と女の子らしいとこもあるのよ!」

「あは…ヒカリ、意外とって…。」

 

後ろ頭に大きな汗を垂らすアスカ。

 

そのあとお決まりのロウソク吹き。

巨大なケーキのロウソク15本が一回で見事に消えた。

 

ケーキをカットし、みんなに分ける。

 

誕生祝いのみんなからのプレゼント。山のようなプレゼントが舞台の前に積み上げられる。

結構高価なものが送られている事が包み紙からもわかる。

 

アスカからのお返し。ヒカリには可愛いブローチ。

ミサトには生ビールの3樽と専用蛇口セット。

 

「僕等にはないのか?」

 

ケンスケが詰め寄る。

 

「ううん、そんなことないよ。男の子達には私から感謝を込めて…。」

 

いつもに比べてやけに優しい感じである。

 

「キ・ス・し・て・あ・げ・る。」

 

「えっ、えええええええええええ!!!!」

 

総立ちになる男ども。

 

「前に並んでくださあい!」

 

「なあに考えてるのかしらね。あんなこという子じゃないんだけど。」

 

眉をひそめたヒカリが振り向くとすでにケンスケとトウジの姿がない。

 

「と、と・お・じ・いいいいいいいいい〜〜〜。」

 

怒髪天の地獄のような声がヒカリの喉から漏れる…。

すでに目からは火を噴き出しそうである。

周囲の人間がザザッと引く。

 

対照的に同情を買っているのはこちら、碇シンジくん。

 

「うっ、うっ、うっ、アスカがぁ〜〜〜。アスカぁ〜〜〜。」

 

すでに涎と涙でぐっちゃぐちゃである。

 

「僕は、ぼくは要らない彼氏なの?」

 

決まり台詞も涙、涙である。

 

「何なのかしらねー、ああいう事する子じゃないと思ってたのに。まっ、いいか。」

 

ミサトは呆れ顔だが、本人がやる事だからと放任を決め込む。

一瞬でもビールの側を離れたくないのだろう。

 

「気にしなくていいわよ。」

 

クールなリツコさん。

 

外から爆音が聞こえる。

TV中継を見ていたアスカファンがそれぞれ愛車を駆って高価なプレゼントを手に手に駈け付けて

きたのである。空にはVTOLなども点々と浮かんでおり、高速ジェットが通り過ぎるたびに、

次々とパラシュートが第一中学上空に花開く。

たちまち中学校の校庭が男達で埋め尽くされていく。

 

体育館の中ではすでにキッスのプレゼントが始っている。

 

「あ、あの、○きゅ○といいます。」

「いつもありがとうね。ちゅっ!」

「あああ〜〜〜、いつ死んでもいいですう。」

 

「あ、わたくし○○どころと申します。」

「いつも応援ありがとね、おじさま。ちゅっ。」

「はうあうあうあ〜〜〜。」

「おとうさんおめでとー。」

「あなたっ、わたしというものがありながらこんな…!」

ばりばりばり!!

「おかあさんつおーい!!」

 

「ぼっ、ぼく、ま○とと言います。」

「使徒さんとの戦いがんばってくださいね。ちゅっ。」

「だ〜〜〜〜〜〜っ!!」

 

「ぼぼぼぼぼぼく、Z○○Kって言います。大ファンなんです、」

「是非私のお話かいてね。ちゅっ!!」

「はうはうはうはう〜〜〜いくらでもかきますう。」

 

「私、イケ…。」

 

「あ〜〜〜、あすかあ!!」

 

滝のように涙を流しつづけるシンジ。舞台脇には感激のあまり血圧が上がりすぎて

倒れたアスカリアン達の屍が山のように積み上げられている。

そのシンジの横に黒い野球帽と灰色のジャンパー、黒いジーンズ姿の、一見TVスタッフらしき

人物がさささっと近寄る。

 

「シンジ!シンジ!」

「ほえ?なんですか?僕のアスカが…。」

「ばかねっ!あたしよ!」

「へ?アスカ?じゃ、じゃああそこにいるのは?」

 

シンジは舞台上を見上げる。

 

「次、12638番の方!」

「うはははい!ぼぼぼぼくJ○○○○です!あのあのあのあの。」

「いつもありがとう。お会いしたかった。ちゅっ!」

「どきゅ〜〜〜ん!!ばたっ。」

「おーい、また倒れたぞ〜。」

 

「あれは誰?」

「あれは、リツコの作った高性能アンドロイドよ。研究費が不足したんで、私を使って高価な

プレゼントをかき集めて、質屋にぶち込んで金に変えるつもりなのよ。」

 

二人は、会場をコソコソと脱出した。

 

 

 

「はあはあはあ…。」

「ふうふうふう…。」

 

坂の上の公園まで走ってきた二人。

 

「よかった。これでやっと二人きりだね。」

「シンジ、わたし、みんなに祝ってもらうのも嬉しいけど欲しいものは一つだけなの。」

「それは何。ぼく、どんなに頑張っても必ずそれを手に入れてくるよ!」

「ううん、それはね。こうやって、あなたと二人きりでいる時間。」

 

ぽうっと頬を染めるアスカとシンジであった。

 

「アスカ…。15歳の誕生日おめでとう。これから、二人が生き続ける限り必ずそばにいて、

君の誕生日、一緒にやろう。」

「ありがとう、シンジ…。」

 

じっと見詰め合う、黒曜石とサファイアの瞳。

その瞳が閉じるにしたがって、ふたりの唇が近づいていった。

 

 

 

 

「はい!そっち開けて!フェラガモはこっちにまとめてね!グッチは向こうの山!

ローレックスは3番の箱に放り込んでね!ダイヤ類は赤い箱に入れて、他の宝石類は

まとめて青い箱に入れちゃって!」

 

体育館の舞台下では、リツコとマヤ、もと科学技術研のメンバーが大車輪でプレゼントの仕分けで

大忙しである。電卓を片手にねじりはちまきのリツコが計算機を夢中で叩いている。

 

「ざっと今のとここんなもんか。でもアスカとの取り分は5:5だからもっと稼がないと…。

マヤ!TV局に電話して世界ケーブルの方とインターネットにも画像を流すように手配して!」

「はい、センパイ!」

「ちいっ!アスカロボットもう2,3台作っとくべきだったわ!どうせ目が眩んで幾つかの会場で

やったって、気付かれなかったのに。来年は改善の要ありね。」

 

 

 

平和に第3新東京市に夜の帳が下りていく。

 

 

 

 

<とんでもない誕生日>

 




後書き:

 

勝手に登場させた皆さんすみません!登場したかった方後からでも受け付けます!

(ほんと?)

えー、誕生祝SSです。(どこがお祝いなんじゃ?)

いてっ、いててっ、石を投げないで、ビン、缶を投げないで!ひえーっ!!

 

こめどころ

 



旧サイトのあとがき


ぷぷぷっ、こめどころさんありがとうございますです(^.^)

アスカ様、誕生日をお祝いしてくれたみんなにキスのサービス(^.^)

あれ?この○きゅ○って誰?(爆)

どうもありがとうございま〜す(^.^)

って、これは一本取られた(笑)

 

やっぱり本物のアスカ様のキスはシンジ君だけのものなんですね(^.^)

よ〜し、本物のアスカ様からキスして貰う為に頑張ってSS書くぞ〜(爆)

 

こんなすてきな誕生日記念SSを下さいました、こめどころさんに感想を皆様で書きましょうよ♪

そして、ご自分も出演しましょう(^.^)

 

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こめどころさんのもう一つの誕生日記念作品はこちらからどうぞ♪

 

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